せせらぎの原稿
この、音声ガイド付きで映画を鑑賞する活動をスタートしたのは昨年の5月でした。実は、朗読サークルさんより送っていただいた「柏市民新聞」のデイジー録音版を聞いていたところ、劇場が再開されるとの情報を耳にしたのがきっかけでした。
早速、迷わずに映画館への電話をすることから始めました。数日後、劇場のロビーで会っていただいた当時の支配人ですが、白杖を持った私が「是非、私たちのような視覚障害者にも映画を鑑賞する機会を与えていただけないか?」との申し出にとまどっていたのも事実です。
それでも、何とかご理解をいただき、まずはやってみようということになりました。第一回目は5月のある日、「宇宙兄弟」を・・・ということになりました。柏視覚障害者協会の方々にお誘いをしたのですが、内心、どれほどの方が参加いただけるか不安で仕方がありませんでした。そして、迎えた当日、ガイドヘルパーさんを含め約20名ほどの方々にお越しいただけることができました。この時の感動は忘れることが出来ないものです。そして、これから続けていくことが大切だと決意をしたのです。
それでも、当初は一般のお客様にご迷惑を掛けないようにと、平日の朝一番の上映時間に開催することとなりました。高島屋さんのエレベーターがまだ動き出す前の時間帯のため、駅からの誘導やご案内に苦労したのも、今となっては良い思いでです。そして、回を重ねる毎に、参加される人数も増え、また参加していただく皆様のお住まいも柏だけではなく、遠くは八王子や茨城の水戸、埼玉からも、そして都内からも・・・数えきれないくらい広い範囲に広がっております。
そして、視覚障害者の方々だけでなく、この活動にご理解をいただける晴眼者の方、地域の老人会の皆様等々、本当に多くの方に知っていただけることができました。もう、あれから一年半がたちましたが、その間映画の鑑賞だけでなく、今年の7月には市立柏高等学校のサマーコンサートにも、10月には、時代劇の舞台公演にもバリアフリー観賞を取り入れていただくことが出来ました。先月にはチーム柏の仲間による自前の音声ガイド作りにも挑戦いたしました。また、おおたかの森にあるTOHOシネマズでのバリアフリー上映にも東宝さんよりお声掛けををいただくことも出来ました。今回の原稿依頼をいただいたことで、今までの上映会を改めて調べてみたのですが、35回は超えておりました。あっという間の一年半でしたが、これからも多くの方々と出会える場を作るために、チーム柏の活動が少しでもお役にたてればと願っております。
最後になりますが、先月、お声がけをいただき、新宿にある東京ガスの主催による、イベントに参加してきたのですが、そこでの内容は、「バリアフリーによる映画鑑賞が認知症の予防と改善に役立つことが出来る」との講演でした。これは「回想法」の一環としての取り組みの中での効果があるとのことです。これについては、またどこかでお話をさせていただける機会があればと思っておりますが、私たちの行っているこの活動は様々な可能性を持っていることを改めて自覚するものでした。
これからも、チーム柏の取り組みにご理解とご協力をいただけますようお願いをいたします。